雨の日の大人たちは

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眠れなくなる? ホラー好きなら必読の、怪奇・ホラー小説10選

 ホラー小説万歳。

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 みなさん、ホラー小説はお好きでしょうか!?

 私は過去の書評作品を見てわかる通り、ホラーが三度の飯より大好きです。最近は日本ホラー小説大賞が無くなってしまい、徐々に寂しくなりつつあるホラー小説業界ですが、良著はいっぱいあるんですよ!

  ということで、断然お勧めできるホラー小説を10作品チョイスしてみました。

 

ぼぎわんが、来る(著者:澤村 伊智)

ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)

ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)

“あれ”が来たら、絶対に答えたり、入れたりしてはいかん―。幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。それ以降、秀樹の周囲で起こる部下の原因不明の怪我や不気味な電話などの怪異。一連の事象は亡き祖父が恐れた“ぼぎわん”という化け物の仕業なのか。愛する家族を守るため、秀樹は比嘉真琴という女性霊能者を頼るが…!?(BOOKデータベースより)

 22回日本ホラー小説大賞大賞受賞作であり、今最も注目されている澤村伊智のデビュー作。怪異としての「闇」と、人間社会の「闇」を絶妙にマッチさせた本作は、それまでのホラーの代名詞だった「リング」と比較される程の傑作と評価されました。

 今ホラーを読むのであれば、外せない一作と言えるだろう。

 

ずうのめ人形(著者:澤村 伊智)

ずうのめ人形 (角川ホラー文庫)

ずうのめ人形 (角川ホラー文庫)

不審死を遂げたライターが遺した謎の原稿。オカルト雑誌で働く藤間は後輩の岩田からそれを託され、作中の都市伝説「ずうのめ人形」に心惹かれていく。そんな中「早く原稿を読み終えてくれ」と催促してきた岩田が、変死体となって発見される。その直後から、藤間の周辺に現れるようになった喪服の人形。一連の事件と原稿との関連を疑った藤間は、先輩ライターの野崎と彼の婚約者である霊能者・比嘉真琴に助けを求めるが―!?(BOOKデータベースより)

 ぼぎわんに続く澤村伊智のホラー小説第二弾。

 ぼぎわんと世界観を同じくしており、比嘉真琴と野崎の活躍により怪異の真相へ迫っていく。場面がコロコロと変わっていき、スピーディにストーリーが展開していく。まだまだ作者二作目ということで荒削りな部分はあるが、エンターテイメント小説家としての才能がひかる一作である。

 

のぞきめ(著者:三津田 信三)

のぞきめ (角川ホラー文庫)

のぞきめ (角川ホラー文庫)

辺鄙な貸別荘地を訪れた成留たち。謎の巡礼母娘に導かれるように彼らは禁じられた廃村に紛れ込み、恐るべき怪異に見舞われる。民俗学者・四十澤が昭和初期に残したノートから、そこは“弔い村”の異名をもち“のぞきめ”という憑き物の伝承が残る、呪われた村だったことが明らかとなる。作家の「僕」が知った2つの怪異譚。その衝撃の関連と真相とは!?何かに覗かれている―そんな気がする時は、必ず一旦本書を閉じてください。(BOOKデータベースより)

  ミステリとホラーの融合をテーマとし、前述した澤村伊智の作風にも大きな影響を与えた三津田信三の代表作の一つ。

 それぞれ現代と過去の独立した話を紐解くと、その真相が見えてくるというミステリー調の作品に仕上がっている。こういう感じの作品を三津田信三は何作か残すのだが、これが一番仕上がりが良い。

 ちなみに映画化されたが、そちらは見ないほうがいい。

 

怪談のテープ起こし(著者:三津田 信三)

怪談のテープ起こし

怪談のテープ起こし

恐怖は全て、日常にひそむ。自殺する者は何を語るのか。怪女「黄雨女」とは一体―。怪談六篇と、ある編集者の顛末。(BOOKデータベースより)

 「のぞきめ」の三津田信三の短編集。

 この人の短編ホラーは本当にクオリティが高い。後述の「誰の家のも〜」を含め、純粋な短編ホラー作品に関していえば、三津田信三の作品は現在の作家の中でも群を抜いている。そんな三津田信三の短編ホラーを6作楽しめる。

 因みにこちらもミステリ調に仕上げているが、そちらはあまり深く考えないほうがいい。短編を純粋に楽しむのが吉。

 

どこの家にも怖いものはいる(著者:三津田 信三)

どこの家にも怖いものはいる (中公文庫)

どこの家にも怖いものはいる (中公文庫)

三間坂という編集者と出会い、同じ怪談好きとして意気投合する作家の三津田。その縁で彼の実家の蔵から発見された「家」に関するいくつかの記述を読むことになる。だが、その五つの幽霊屋敷話は、人物、時代、内容などバラバラなはずなのに、奇妙な共通点が…。しかも、この話を読んだ者の「家」には、それが訪れるかもしれないらしい。最凶の「幽霊屋敷」怪談!(BOOKデータベースより)

 同じく三津田信三のホラー短編集。

 前述の「怪談のテープ起こし」と同じくクオリティの高い短編集である。今回は三津田信三の得意とする「家」の怪談がメインであり、密室を舞台とした緊迫感溢れる恐怖を堪能することができる。

 またこれも「怪談のテープ起こし」と同様、ミステリ部分は無視していい。短編集として楽しんでもらいたい。

 

秋の牢獄(著者:恒川 光太郎) 

秋の牢獄 (角川ホラー文庫)

秋の牢獄 (角川ホラー文庫)

十一月七日水曜日。女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。何をしても、どこに行っても、朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。悪夢のような日々の中、藍は自分と同じ「リプレイヤー」の隆一に出会うが…。世界は確実に変質した。この繰り返しに終わりは来るのか。表題作他二編を収録。名作『夜市』の著者が新たに紡ぐ、圧倒的に美しく切なく恐ろしい物語。(BOOKデーターベースより) 

 恒川光太郎といえば「夜市」かもしれないが、ホラー作品としては「秋の牢獄」をあげたい。

 日本ホラー小説大賞でデビューした恒川光太郎だが、ホラーというよりは「幻想小説」の様な、独自の雰囲気を持つ作品を世に放っている。その中でもSFホラーであり、かつ恒川ワールドを味わえるのが「秋の牢獄」だ。

 ホラーが苦手な人間でもスっと入ってくるので、怖いのが苦手な人にもオススメしたい作品である。

 

玩具修理者(著者:小林 泰三)

玩具修理者 (角川ホラー文庫)

玩具修理者 (角川ホラー文庫)

玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも…死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行く…。現実なのか妄想なのか、生きているのか死んでいるのか―(BOOKデータベースより)

 小林泰三のデビュー作「玩具修理者」。

 クトゥルフ神話をモチーフにした本作は言わずと知れた名作であるが、この文庫本には表題作のほかに、知られざる名作「酔歩する男」が掲載されている。中途半端なタイムトラベラーとなってしまった男を主人公とする本作は、個人的には玩具修理者を凌ぐ名作と感じる。

 短編と中編の2作しかないが、どちらも名作という素晴らしい文庫本であり、ホラー好きのみならず必読の一作だろう。

 

粘膜人間(著者:飴村 行)

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

「弟を殺そう」―身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐太は、弟の殺害を計画した。だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、村のはずれに棲むある男たちに依頼することにした。グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか?そして待ち受ける凄絶な運命とは…。(BOOKデータベース)

 後に粘膜シリーズと呼ばれる飴村行の代表作。

 ホラー小説というより、スプラッター小説というか、怪奇小説の様な作品である。グロテスクな描写も多く読む人を選ぶのだが、独特の世界観にどハマりするファンも多い。

 こういうジャンルの試金石として、読んでみるのも一興な作品。

 

霧が晴れた時(著者:小松 左京) 

霧が晴れた時 自選恐怖小説集 (角川ホラー文庫)

霧が晴れた時 自選恐怖小説集 (角川ホラー文庫)

 

太平洋戦争末期、阪神間大空襲で焼け出された少年が、世話になったお屋敷で見た恐怖の真相とは…。名作中の名作「くだんのはは」をはじめ、日本恐怖小説界に今なお絶大なる影響を与えつづけているホラー短編の金字塔。(BOOKデータベースより)

 SF小説の巨匠、小松左京の恐怖小説傑作選である。

 時代が時代なだけに設定背景が古いのだが、それを感じさせないのは小松左京の力ということだろうか。名作の「くだんのはは」もそうだが、タイトルである「霧が晴れた時」も素晴らしい。

 作品数が多く、SFチックな話も多いので、ホラー小説としても小松左京作品としてもとっつきやすい文庫本だろう。

 

ぼっけぇ、きょうてぇ(著者:岩井 志麻子)

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)

 

「教えたら旦那さんほんまに寝られんよになる。……この先ずっとな」時は明治、岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた……。岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。(BOOKデータベースより)

 ねっとりとした、純日本のホラー小説。

 岡山弁で語られる表題作「ぼっけぇ、きょうてえ」の空気は異質だ。夏の夜じめじめした熱帯夜のような重みのある空気の中で、時々吹く風が背筋をぞくりと冷やす。怖いというよりは「肝が冷える」様な文がそこにはある。

 読んで行くうちにグイグイと本に引き込まれる様な、そんな空気を持つ一冊である。