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雨の日の大人たちは

「100食」「100本」「100冊」「100記事」をテーマに、ダウナーなアラサーが日記書いています。

現実と虚構が曖昧になる「夜市」(著者:恒川光太郎)

書籍(小説)

 第12回日本ホラー小説大賞受賞作であり、直木賞にもノミネートされた力作。 

夜市 角川ホラー文庫

夜市 角川ホラー文庫

 

 

 

 大学生のいずみは高校で同級生だった裕司に誘われ、夜市へと出かける。道中で話を聞くと、裕司は小さい頃に夜市を訪れており、それが今夜も開かれることを学校蝙蝠からきいたという。一旦は呆れて帰ろうとするいずみだったが、公園の奥にある森で、夜市は本当に開かれていた。
 黄泉の河原の石、なんでも斬れる剣、老化が早く進む薬……それらを売っているのは、永久放浪者に一つ目ゴリラ、のっぺらぼう。いずみは帰ろうとするものの、裕司ともども道に迷ってしまった。いくつもの出店で帰り道を尋ねるが、「何か取引をしない限り、夜市から帰ることはできない」という答えが返ってくる。
 帰る手段を考えるため、以前裕司が訪れたときの話を聞こうとするいずみに、裕司は実は全財産である72万円を持参してきており、ある欲しいものを手に入れるためにこの夜市を訪れたのだと告白する。自分の所持金では何も買えないいずみは、裕司が以前の夜市で「野球選手の器」と引き換えに売り払ってしまった「弟」を買い戻すという目的に付き合って、知り合った老人の力をかりながら、彼とともに人攫いの店へ……。 (wikipediaより引用)

 講談社が主催する「sugoi japan」にて、エンタメ小説部門にノミネートするなど、エンタメ作品として日本でも評価の高い一作。
http://sugoi-japan.jp/2015/nominate/entame/

 収録作品は、本のタイトルでもある「夜市」と、「風の古道」。
 出版は角川ホラー文庫、また日本ホラー小説大賞を受賞していることからホラー要素の強い作品と思われるかもしれないが、実際はそうではない。確かにどちらも現実では説明のつかない不可思議な現象をテーマに進むが、決して怖いわけではなく。むしろどこか温かささえ感じてしまう。

 夜市に漂う、幼少期に近所のお祭りの出店で覚えたワクワク感。
 風の古道では、幼いころ小さな里山で道なき道を歩いた景色を思い浮かべる。そうしたノスタルジックな風景が、この物語をやさしく包んでいる。

 誰もが幼いころに経験したような体験をもとに、そこがもし異世界への入り口であったら、というスパイスを利かせたのがこの2作だ。だから読者はすんなりと物語に入り込むことが出来、主人公に深く共感する。


 角川ホラー文庫、今ならkindle版が半額セールをやっています。たったの230円ですので、間違いなく元が取れる作品です。

 秋の夜長のお供に、是非。