雨の日の大人たちは

「100食」「100本」「100冊」「100記事」をテーマに、ダウナーなアラサーが日記書いています。

極限の恐怖によるパニックが恐ろしい「ミスト」

 スティーブン・キング原作の映画は数あれど、原作を超えた映画は限られています。
 その原作を超えた映画の一つであるのがフランク・ダボラン監督「ミスト」です。 

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 激しい嵐が町を襲った翌朝、湖のほとりに住むデヴィッド・ドレイトン(トーマス・ジェーン)とその妻のステファニー(ケリー・コリンズ・リンツ)は自宅の窓やボート小屋が壊れているのを見つける。デヴィッドは買い出しのため、8歳の息子のビリー(ネイサン・ギャンブル)と隣人のブレント・ノートン(アンドレ・ブラウアー)と共に車で地元のスーパーマーケットへ向かった。店は嵐から回復して客で賑わっていたが、冷蔵庫以外は停電していた。デヴィッドたちが買い物をしていると、店外ではパトカーや救急車が走り回り、そしてサイレンが鳴り始めた。その直後、鼻血を流したダン・ミラー(ジェフリー・デマン)が店の中に逃げ込み、霧の中に何かがいると叫んだ。そして辺り一面が白い霧に包まれ、人々は店内に閉じこもった。(wikipediaより引用)


 フランク・ダボラン監督といえば、「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」等数多くの名作を務め、近年では米国版ゴジラの脚本を務めました。そのラインナップから分かる通り、キング原作の作品の映像化が得意な監督であり、本作品もまた、キングの短編小説「THE MIST」を映像化した作品です。

 主演は同じくキング原作「ドリーム・キャッチャー」にて好演したトーマス・ジェーン。他にも「サイレント・ヒル」「ファンタスティックフォー」に主演したローリー・ホールデン等の役者が脇を固めます。

 本作品はスーパーマーケットという閉ざされた空間の中で、様々な人物が入り混じり進行するグランド・ホテル形式で展開されます。最初は理性的であった人々が、ストーリーが進んでいくにつれ徐々に狂気に取りつかれていく様子は、本当に怖いのは霧の中のモンスターか、スーパーマーケットの中の人間なのか分からなくなってきます。
 また原作にはない最後の15分間に関しては、2ちゃんねるで「鬱映画」と評され、キング本人からは絶賛される衝撃的な結末となっています。

 モンスター描写に関しても、恐怖感を煽りつつも、どこか神秘性を持たせたデザインであり、終盤に登場する巨大なモンスターはクトゥルフ神話の神々や、ダリの絵を思い起こさせます。

Salvador Dalidigital_art - Design Heard 1

-----------ここからネタバレあり-----------

 霧をかき分けて現れる戦車のシーンですが、見逃してほしくないのが、そのあとのトラックに乗っていた子供を抱いた女性です。この女性、初見では分からなかったのですが、見返すと最初にスーパーマーケットから出ていった女性であることが分かります。
「娘と息子が家で待っているから帰る」といって、周りの静止をかき分けて霧の中へと戻っていった女性といえば分かるでしょうか。

 恐らくそのままモンスターの被害にあっただろうと思っていた彼女が、実は最後まで生き残り、子供二人も無事であったシーンは、強い宗教的な色を感じます。
 キリスト教圏において「自殺」は重罪であり、自己犠牲は讃えられるものです。主人公は理由があるにしろ、最後は生き残った人々を銃殺し、自らも自殺をしようと試みます。

 一方で女性は小さな子供の為に、危険であることは分かっていながらも霧の中に飛び込みます。
 この対比において、主人公は断罪され、女性は救われたのだと考えることが出来ます。

 例えばこの描写はキアヌ・リーブス主演の「コンスタンティン」でも同じ描写を見ることが出来ます。

amenoh.hatenadiary.jp

  日本の映画はあまり宗教チックなメッセージを発信することはないのですが、ハリウッドではこうしたメッセージを数多く見ることが出来ます。そういえば「ショーシャンク」も「グリーンマイル」も非常に宗教色が強い作品ですね。

 最近はどんな活動をしているのか分からないダボラン監督ですが、またキング原作の作品を映像化するのでしょうか。
 今後の活動に期待したい監督の一人です。