雨の日の大人たちは

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(厳選)ホラー好きなら必読! 面白いホラー短編小説集10選

 みなさん、ホラー小説はお好きでしょうか?

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 みなさん、ホラー小説はお好きでしょうか。

 デジタル化の波に飲まれ、ちょっとずず衰退している気がするホラー業界ですが、面白い小説はたくさんあります。

 今回私がオススメしたいのは、ホラー小説の中でも「短編小説」です。ことホラー小説に限っては、話の長い短いは作品の完成度・面白さと比例しません。長編と同じレベルの名作がゴロゴロ転がっています。

 今回は、その中でもオススメしたい10作品をピックアップしてご紹介していきます。

 

Ⅰ.禍記(著者:田中 啓文)

禍記 (角川ホラー文庫)

禍記 (角川ホラー文庫)

 

オカルト雑誌の新米編集者、恭子はホラー小説の大家、待田から「禍記」という謎の古史古伝の存在を聞かされる。そこには、歴史の闇に葬られた人類誕生以前の世界のことが書かれているという。恭子はその書物に魅かれていき…。赤ん坊をすりかえる取りかえ鬼、孤島で崇められるひゃくめさま、そして、子供にしか見えないモミとは?神話、古代史、民間伝承を題材に、恐怖の真髄を描破した伝奇ホラー傑作集。(BOOKデータベースより)

 かまいたちの夜のシナリオライターでも知られる、オカルトライター田中啓文の短編小説集。

 文体が読みやすく、ストーリーもテンポよく進むのが好印象。全体的に安っぽい内容ではあるものの、グロテスクでスリリングな作品はマックのポテトフライの様に、たまに無性に食べたくなる様な、そんなジャンキーな作品。

 

Ⅱ.どこの家にも怖いものはいる(著者:三津田 信三)

どこの家にも怖いものはいる (中公文庫)

どこの家にも怖いものはいる (中公文庫)

 

三間坂という編集者と出会い、同じ怪談好きとして意気投合する作家の三津田。その縁で彼の実家の蔵から発見された「家」に関するいくつかの記述を読むことになる。だが、その五つの幽霊屋敷話は、人物、時代、内容などバラバラなはずなのに、奇妙な共通点が…。しかも、この話を読んだ者の「家」には、それが訪れるかもしれないらしい。最凶の「幽霊屋敷」怪談!(BOOKデータベースより)

 ホラー界の大御所、三津田信三の作品。

 独立した怪談が最終的に一つの話につながる、というような作品なのですが、一話一話のクオリティが高く単話毎に十分楽しめます。

 特に少年が遭遇する「異次元屋敷 少年の語り」に関しては、文面からその緊張感が滲み出てくる様な傑作です。

 

Ⅲ.怪談のテープ起こし(著者:三津田 信三)

怪談のテープ起こし (集英社文庫)

怪談のテープ起こし (集英社文庫)

 

自殺する間際にメッセージを録音して残す人がいる。それを集めて記事にしないか?編集者時代の三津田に企画を提案したライターが突然失踪。後日、三津田の元に届いた1本のテープには何が。カセットやMDに録音された体験談に材を取った6つの怪異譚と、それらを連載し本になるまでの、担当編集者との裏話的なエピソードから成る作品集。この物語を読むあなたは恐怖を「体感」することになる。(「BOOK」データベースより) 

 Ⅱと同じくホラー小説の巨匠・三津田信三の短編集。

 構成は「どこの家にも怖いものはいる」と同じく、独立した怪談が最終的に一つになる系の構成となっています。一番いいのは表題作であり、短編1本目の「怪談のテープ起こし」の話ですね。

 三津田信三の怪談は基本的にハズレがないのが素晴らしいです。

 

Ⅳ.拝み屋怪談 逆さ稲荷(著者:郷内 心瞳)

拝み屋怪談 逆さ稲荷 (角川ホラー文庫)

拝み屋怪談 逆さ稲荷 (角川ホラー文庫)

 

 如何にして著者は拝み屋と成り得たのか―。入院中に探検した夜の病院で遭遇した“ノブコちゃん”。曾祖母が仏壇を拝まない理由。著者の家族が次々に出くわす白い着物の女の正体とは。霊を霊と認識していなかった幼少期から、長じて拝み屋開業にいたるまで、人ならざるモノと付き合い続けた恐怖の半生記をここに開陳。自身や家族の実体験のみならず、他者への取材をもとにした怪異譚を併せて収録する、かつてない怪談実話集!(「BOOK」データベースより)

 実話系怪談を読むのであれば、一番好きな作家が郷内心瞳です。

 バリエーションに幅があるのと、少しずつストーリーに関連性があったり、徐々に判明していく主人公の背景が面白いですね。単純な実話系怪談でなく、つながりのある「ホラー小説」としての一面もあるのが、他の実話系怪談とよく区別化されており、いいスパイスになっていると思います。

 逆さ稲荷の他にも、「花嫁の家」「禁忌を書く」等シリーズがあります。

 

Ⅴ.小池真理子傑作選 懐かしい家(著者:小池 真理子)

懐かしい家 小池真理子怪奇幻想傑作選1 (角川ホラー文庫)

懐かしい家 小池真理子怪奇幻想傑作選1 (角川ホラー文庫)

 

夫との別居を機に、幼いころから慣れ親しんだ実家へひとり移り住んだわたし。すでに他界している両親や猫との思い出を慈しみながら暮らしていたある日の夜、やわらかな温もりの気配を感じる。そしてわたしの前に現れたのは…(「懐かしい家」より)。生者と死者、現実と幻想の間で繰り広げられる世界を描く7つの短編に、表題の新作短編を加えた全8編を収録。妖しくも切なく美しい、珠玉の作品集・第1弾。(「BOOK」データベースより)

 ホラー短編小説といえば、小池真理子。

 その小池真理子の傑作選が「懐かしい家」です。8作の短編小説が入ったこの傑作選は、怖くとも儚さを感じる小池真理子ワールドを楽しむのには打って付けの一冊でしょう。

 また同じく傑作選の「青い夜の底」も面白いので、「懐かしい家」が気に入れば読んでみることをオススメいたします。

 

Ⅵ.霧が晴れた時 自選恐怖小説集(著者:小松 左京)

霧が晴れた時 自選恐怖小説集 (角川ホラー文庫)

霧が晴れた時 自選恐怖小説集 (角川ホラー文庫)

 

太平洋戦争末期、阪神間大空襲で焼け出された少年が、世話になったお屋敷で見た恐怖の真相とは…。名作中の名作「くだんのはは」をはじめ、日本恐怖小説界に今なお絶大なる影響を与えつづけているホラー短編の金字塔。(「BOOK」データベースより)

 小松左京といえばSF小説の大御所ですが、彼のホラー系作品をまとめた自選小説が本作です。

 有名な「くだんのはは」も収録されていますが、表題の「霧が晴れた時」や「保護鳥」「影が重なる時」など他作品もクオリティの高さを感じます。

 この作品群、書かれている舞台は全部昭和の世界なのですが、まったく古さを感じないのが素晴らしいです。名作は時代を超えるのを感じられる、素晴らしい短編集です。

 

Ⅶ.玩具修理者(著者:小林 泰三)

玩具修理者 (角川ホラー文庫)

玩具修理者 (角川ホラー文庫)

 

玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも…死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行く…。現実なのか妄想なのか、生きているのか死んでいるのか―その狭間に奇妙な世界を紡ぎ上げ、全選考委員の圧倒的支持を得た第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。(「BOOK」データベースより)

 言わずとしてれた小林泰三のデビュー作。

 有名なのは表題作でもある「玩具修理者」ですが、それよりも収録されているもう一つの作品「酔歩する男」の完成度が非常に高いです。中途半端なタイムトラベラーとなった語り手が語る壮絶な人生は、想像するだけでゾッとします。

 ページ数が少なく、サクっと読めるのもいいですね。

 

Ⅷ.夜市(著者:恒川 光太郎)

夜市 (角川ホラー文庫)

夜市 (角川ホラー文庫)

 

妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。野球部のヒーローとして成長した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、弟を買い戻すため、裕司は再び夜市を訪れた―。奇跡的な美しさに満ちた感動のエンディング!魂を揺さぶる、日本ホラー小説大賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 こちらも言わずと知れた恒川光太郎のデビュー作。

 ホラーというよりは幻想小説というジャンルになるのかもしれませんが、その完成度は非常に高く、日本ホラー小説大賞が世に送り出した作家の中でも、天才と呼ばれるべき一人だと思います。 

 小林泰三の玩具修理者もそうですが、こちらに関しても同時収録されている「風の古道」も素晴らしいです。ホラー関係なく、評価されるべき短編集だと思います。

 

Ⅸ.竜が最後に帰る場所(著者:恒川 光太郎)

竜が最後に帰る場所 (講談社文庫)

竜が最後に帰る場所 (講談社文庫)

 

しんと静まった真夜中を旅する怪しい集団。降りしきる雪の中、その集団に加わったぼくは、過去と現在を取り換えることになった―(「夜行の冬」)。古く湿った漁村から大都市の片隅、古代の南の島へと予想外の展開を繰り広げながら飛翔する五つの物語。日常と幻想の境界を往還し続ける鬼才による最重要短編集。(「BOOK」データベースより)

 同じく恒川光太郎の短編集。

 他にも恒川光太郎の短編集はありますが、「夜道」の次に何を読めと言われたら、この作品を読むべきでしょう。本冊に収録された「夜行の夜」は、上記の「夜市」に負けず劣らずの名作です。

 他にも「鸚鵡幻想曲」など、本作を読めば夜市で感じた恒川光太郎の魅力を存分に楽しむことができるでしょう。

 

Ⅹ.私の骨(著者:高橋 克彦)

私の骨 (角川ホラー文庫)

私の骨 (角川ホラー文庫)

 

実家の床下から偶然見つかった古びた骨壷には、なぜか私の生年月日が記されていた…旧家に残る恐るべき因習と哀しいまでの親心を描いた表題作をはじめ、心理の奥底に潜む恐怖を通して人間の本質に迫る傑作ホラー短編集。(「BOOK」データベースより)

 本当かどうかはわかりませんが、ビートルズに最初に会った日本人が本作の著者・高橋克彦です。

 非常にオーソドックスなホラー小説。伝記的な要素が強いので、Ⅰでおすすめした「禍記」が好きなら面白いと感じるかも。一番面白いのは表題作の「私の骨」ですが、こちらはどこか小林泰三の玩具修理者を思わせます。

 

Ⅺ.実話系怪談もおすすめ

 ということで、ホラー短編小説集おすすめ10作でした。

 今回は実話系怪談を「拝み屋怪談」シリーズしかいれませんでしたが、実話系怪談のジャンルでも面白いものはたくさんあります。

 次回はそんな実話系怪談のおすすめも紹介していきたいと思いますので、ご期待ください。