雨の日の大人たちは

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(書評)イエスがヤクザで、ヤクザがイエスで「仁義なきキリスト教史」(著者:架神 恭介)

 完全なる一発ネタ。

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Ⅰ.あらすじ

「おやっさん、おやっさん、なんでワシを見捨てたんじゃ~!」(エリ・エリ・レマ・サバクタニ)──イエスの絶叫から約二千年、人類の福祉と文明化に貢献したキリスト教は、一方できわめて血なまぐさい側面を持つ。イエスの活動、パウロの伝道から、十字軍、宗教改革まで、キリスト教の歴史をやくざの抗争に見立てて描く、一大歴史エンターテインメント!(Amazonより) 

 

Ⅱ.仁義なき一発ネタ

 この本は何処かのレビューサイトで見て、名前のインパクトで購入した、ある意味ジャケット買いな一作である。

 一体誰がキリスト教史を任侠映画風に仕上げようかと思ったのだろうか。海外で例えれば、イタリアでキリスト教史をイタリアンマフィア風味に、アメリカではウェスタン風味に仕上げた様な感じだろうか。一歩間違えば、色々なところからバッシングを浴びかねない作品だろう。

 本作がそうならず、一種のパロディとして出版されているのは、日本という国のざっくばらんな気風がさせるのか、それとも本作が無名だからなのか、はたまたどちらもそうだからなのか。

 ともあれ、最初の一文「おやっさん・・・おやっさん・・・なんでワシを見捨てたんじゃあ!」から始まるこの作品は、ある種壮大な一発ネタとして仕上がっている。

 

Ⅲ.舞台はキリスト立志からマルティンルター迄

 「キリスト教史」というだけあり、舞台はキリストの活動初期から95ヶ条の論題で有名なマルティンルターまで続く。

 この本の中で、キリスト教およびユダヤ教関連者は全て「ヤクザ」であり、宗教関連用語は全て極道用語として使用される。ヤハウェは姿を表さない大親分として描かれ、イエスはそのヤハウェから直接盃を受けた舎弟として描かれる。

 そこからローマにおけるキリスト教拡大、十字軍、ルターの宗教改革とストーリーは進んでいくが、キリスト教=極道の描写はブレない。

 

Ⅳ.小説としては微妙、実用書としては面白い

 正直な話、小説としては非常に微妙な作品である。

 福音書あるあるだが、キリスト教史はやたら登場人物が多く、舞台もローマ以降は加速度的にコロコロと変わる。そもそも、「キリスト=極道」ネタの面白さは第1章で飽きる

 ということで、小説として楽しむと考えると正直第1章過ぎてからきつい

 しかし、実用書として考えれば面白い。

 非常に難解なキリスト教史を、ユーモアを交えつつ読み解くという観点においては、読み易く理解しやすい内容となっている。特にキリスト教史を全くわからない初心者にとってはうってつけではないだろうか。

 

Ⅴ.サブカル書

 著者の架神氏の著作を見ると、サブカル系の本を得意とする作家さんの様だ。

 確かに、ヴィレッヂバンガード辺りに置いてそうな本である。

 肩を張らずに、サブカル本として読む分には気楽に楽しめる本ではないだろうか。

(100書評チャレンジ:38/100冊)

 

仁義なきキリスト教史 (ちくま文庫)

仁義なきキリスト教史 (ちくま文庫)