雨の日の大人たちは

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(書評)澤村伊智の描くサイコスリラー「恐怖小説 キリカ」(著者:澤村 伊智)

 角川で出しているものとは、一味違う。

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 Ⅰ.あらすじ

ホラー小説の新人賞を獲得し、僕は出版に向けて準備をはじめた。隣には支えてくれる最愛の妻・キリカ。順風満帆な日々が続くと思われたが、友人の一人が「作家とは人格破綻者である」「作家は不幸であるべき」と一方的な妄想を僕に押し付け、嫌がらせをはじめる。ストーカー行為、誹謗中傷の手紙、最悪の贈り物。やがて不幸は、僕とキリカのとある「秘密」を暴き出すが――。

 

Ⅱ.いつもの3部構成と、いつもじゃないストーリー

 本書の構成はいつもの澤村作品と同じく3部構成となっています。

 それぞれ視点の異なる人物を主人公とし、全体を見る事で事件のあらましや人間関係を描く、澤村長編4作で共通する事項です。このいつもと同じ手法を使いながら、角川比嘉シリーズと異なる作風を打ち出したのが本作「恐怖小説 キリカ」です。 

 ジャンルとしてはサイコスリラーに分類されるでしょう。

 詳細を書くと完全にネタバレになるので避けますが、他の澤村作品では見られないグロテスクな描写があります。心霊現象ではありませんし、そもそも主人公を澤村本人としていたりと、長編3作目にして異彩な作品となります。

 

Ⅲ.とはいえ、ありきたりな作風

 とはいっても、作風としてはありきたり、といえるでしょうか。

 サイコスリラーのお手本の様といいますか、言ってしまえば「先が読める」のが今作です。ホラーの場合はある意味先が読めていいんです。来るぞ、来るぞ・・・はい来た! というのはホラーのお約束です。

 でもサイコスリラーの場合は、読者の読みを裏返す様な「仕掛け」があってこそ面白い作品なり得ると思うんですよね。小説ではないですが「SAW」なんかはその典型で、ある意味その1点だけで売れた様なもんです。

 本作にはそうした「仕掛け」が無い、というか「ありきたり」なので、読者の読みがそのままオチになるので、読者的には物足りなく感じてしまうのではないでしょうか。

 

Ⅳ.今後講談社での新作はあるのかな?

 基本的に日本ホラー大賞のお膝元の角川で活躍されている作者ですが、本作は講談社での一作。ホラー関連は角川で、それ以外は他社で、という形で振り分けていくのでしょうか。

 どちらかといえばホラーで活躍してほしい作家さんですので、今後の角川での活躍に期待したいところです。

(100書評チャレンジ:30/100冊)

 

恐怖小説 キリカ

恐怖小説 キリカ