読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

雨の日の大人たちは

「100食」「100本」「100冊」「100記事」をテーマに、ダウナーなアラサーが日記書いています。

【18/100本】モッくんの演技がどハマりしてる「永い言い訳」

 西川監督の好きな題材シリーズ。

f:id:amenoh:20170423092611j:plain

 Ⅰ.あらすじ

 人気小説家の津村啓は、妻が不慮の事故で亡くなったとの一報を受ける。既に破綻した夫婦関係だった津村だが、世間には悲劇の主人公を演じる。そんな中、同じ事故で妻を亡くした小学校時代の同級生・陽一と出会い、ふとした思い付きから、彼の子供の面倒をみることになる。

 

Ⅱ.西川美和監督らしい作品

 というより、西川監督の代表作である「ゆれる」をリメイクした様な、そんな印象を受ける作品。主人公は洗練された都会に住む人気作家、もう一人は田舎者で学のない長距離ドライバー。一方は破綻した結婚生活だったものの、一方は愛のある家庭を築いていた。そんな対極的な二人が出会うところから、津村の永い言い訳と贖罪が始まるのである。

f:id:amenoh:20170423094400j:plain

 この対極的な関係者の交わりは、「ゆれる」で西川監督が見せた兄弟間の対比に酷似している。奇しくも「ゆれる」が映画化されたのは2006年と、「永い言い訳」のちょうど10年前の作品となる。中間に「夢売るふたり」「ディア・ドクター」を挟んで、10年ぶりの原点回帰とでもいうのだろうか。

f:id:amenoh:20170423102715j:plain

 

Ⅲ.永い言い訳

 ストーリーはモッくん演じる津村が、陽一の子供達を通じて「妻の死」や「妻の存在

」を再認識し、最終的に自らの中で決着をつけることで終わる。特に今回は台詞回しが非常にクオリティが高い。

 津村のマネージャー岸本が、子供たちの面倒を見る津村に対して言う台詞が非常に心に突き刺さる。

 

「(子供の面倒を見るのは)だって先生、それは逃避でしょ? 子育てって、免罪符じゃないですか」

「みんな帳消しにされていきますもん、自分が最低で馬鹿でクズだってことも全部忘れて」

f:id:amenoh:20170423104105j:plain

 岸本は津村が妻の死から背を向けるために、子供の面倒を見ているだけだと言うことを的確に言い当てる。それに対し、津村は「岸本くん、君は私に何をさせたいんだ」と言うしかない。言い訳をしている最中の津村に対し、岸本は「そろそろ決着をつけてくださいよ」と暗に示しているのである(またこの岸本を演じる池松壮亮の演技がいい)。

 

Ⅳ.死を受け止めた津村

 最終的に津村は、交通事故を起こした陽一を迎えにいく電車の中で、陽一の息子・真平に自らの犯した過ちへの後悔を語り、真平は自分の様になるなと語りかける。事故の直前親子ゲンカをしていた二人がトラックに乗り込むのを見送った後、津村は再び筆を取り始める。

 「人生は他者だ」と。

 

Ⅴ.総評

 西川監督の色が強く出た作品。

 おそらく男側からみた意見と、女側からみた場合の意見が食い違うんじゃないかな、と思わせる内容。でも何方からみても、最後の決着を終えた津村が、髪を切るシーンにグッとくるんじゃないでしょうか。

永い言い訳 [Blu-ray]

永い言い訳 [Blu-ray]