雨の日の大人たちは

「100食」「100本」「100冊」「100記事」をテーマに、ダウナーなアラサーが日記書いています。

【17/100本】若者の再生の旅を壮大なスケールで描き出す「The Fall 落下の王国」

 お気に入りの映画の一つ。

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 Ⅰ.美しい映画

 最近のハリウッド映画は大抵のことはCGで表現できる様になったので、実際にはありえないシチュエーションでの壮大な風景や描写が見られる様になりました。しかしながら、そんなもの使わなくても、思わず見惚れる美しさを描き出す映画はあるわけです。そんな一作が、「The Fall 落下の王国」

 

Ⅱ.あらすじ

 無声映画のスタントマンをしていたロイは、撮影中の事故から下半身不随の大けがを負ってしまう。自暴自棄になった彼の前に現れたのは、オレンジ畑の収穫中に木から落ちて腕を骨折した少女アレクサンドリアだった。

 ロイは自殺を図るために、空想好きの少女にモルヒネを取って来させようと思い付き、彼女に作り話を聞かせ始まる。それは一人の悪人に立ち向かう、6人の勇者たちの話だった。

 

Ⅲ.本当にこれは現実なの?

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 真っ青な空に真っ赤な丘、そして真っ白の砂。ここは本当に実在する場所なのだろうかと疑ってしまうが、間違いなく実在する。アフリカのナミブ砂漠がそのロケ地である。

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 他にも各国の世界遺産、絶景がロケ地として登場し、6人の勇者たちの旅を彩っていく。

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 非常に月並みな表現をするのなら「家にいながら世界一周気分を味わえる」作品である。カットの中にはエッフェル塔や自由の女神、タージマハルも登場するが、本編の大部分は日本から行こうと思うと非常に厄介な場所ばかり。上記のナミブ砂漠や、インドの辺境地等、どうやって行くの? と頭を悩ませる場所が多い。

 

Ⅳ.登場人物を彩る衣装

 もう一つの魅力が、登場人物たちを彩る衣装である。

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 鮮やかで、色彩に満ちたこの服のデザイナーは日本のアートディレクター石岡瑛子が務めた事でも話題になった。この人、北京オリンピックの衣装を務めたり、ブロードウェイの衣装も担当したりと、日本を代表するアートディレクターらしいのだが、本作でもその手腕は存分に発揮されている。

 

Ⅴ.物語は現実と交錯する

 上記の世界は、すべて主人公ロイが少女アレクサンドリアへ話す物語の中の世界である。スタントの事故により死を望む様になった彼が、その目的のために彼女を誘導するための嘘である。

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 しかし、そんなロイの作り話だったこの物語は、次第にロイとアレクサンドリア二人の作品となり、ロイの心を動かしていくーー

 

Ⅵ.もっと評価されるべき

 個人的にはとても好きな映画なのだけれど、世間的な評価はあまり高くない。「映像だけ」「衣装だけ」「ストーリーは空っぽ」というのが、どうも世間一般的な評価の様だ。確かに終盤の畳み掛けはちょっと強引だし、もう少し丁寧に描写すれば名作にふさわしい評価を得られたかもしれない。

 しかし、それを差し引いてもお釣りがくるくらいには楽しめる作品である。そして、ターセム・シン監督の無声映画へのリスペクトが詰まった作品であるとも言えるだろう。amazonではプレミアな値段となっているが、レンタルビデオ店なら大体何処でも扱っているので、未見の方には是非見て欲しい一作である。

 

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