雨の日の大人たちは

「100食」「100本」「100冊」「100記事」をテーマに、ダウナーなアラサーが日記書いています。

【21/100冊】キャラ立ちが素晴らしい「夜葬」

 第23回日本ホラー小説大賞・読者賞の作品。

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  先日第24回日本ホラー小説大賞の締め切りが来てしまいました。実はこれに応募しようと作品を書いていたのですが、上手くまとまらず見送りとなってしまいました。。。小説を書くという事は、非常に難しいというか、作家さんの膨大な努力の結晶なのだと痛感します。

 ということで、前回の読者賞を受賞した最東対地さんの「夜葬」が満を持して出版されました。

 

Ⅰ.「どんぶりさん」というキャラクター

 ある山間の寒村に伝わる風習。この村では、死者からくりぬいた顔を地蔵にはめ込んで弔う。くりぬかれた穴には白米を盛り、親族で食べわけるという。この事から、顔を抜かれた死者は“どんぶりさん”と呼ばれた―。スマホにメッセージが届けば、もう逃れられない。“どんぶりさん”があなたの顔をくりぬきにやってくる。脳髄をかき回されるような恐怖を覚える、ノンストップホラー。第23回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞作!

 以前大賞を受賞した「ぼぎわん」のような、所謂「洒落コワ」系統の作品と言っても間違いではないでしょう。

amenoh.hatenadiary.jp

 

 角川としては、第二の貞子・加耶子を作りたいのでしょうか…、「ぼぎわん」「ずうのめ」に続いて「どんぶりさん」の登場であります。

 

Ⅱ.ハイテク機器を使いこなす、どんぶりさん

 このどんぶりさん、一度ターゲットに選ばれるとまずスマホのナビが起動します。そう、この化け物はスマホを操れるのです。そして、ターゲットまであと何キロ…と逆ナビを始めるのですが、最近のお化けも遂にスマホデビューを飾りました。着信アリから十年、お化けだってスマホを使う時代に、私の職場の同僚には頑なにガラケーを使用する人が多々いらっしゃいます。お前らお化け以下か。

 そしてゴルゴ宜しく次々とターゲットを殺しては、次のターゲットへ移っていくのですが、とにかく殺しまくる。本当にこれだけ殺す必要があるのか、というかこの化け物の目的は何なのか。

 

Ⅲ.そこんとこ微妙

 そうした理由に加え、解決方法やら原因やらが色々と放りっぱなしジャーマン状態になってしまっているのが残念。いや、それらしい解決方法や目的は提示されたのですが、「ラストのオチ」によりそれが否定されるという結果に。まぁ、最後のオチを付けたいのも分かりますが、それは蛇足というんじゃなかろうか、という印象。

 色々とホラーにも種類があるとは思うのですが、主人公の行動に絞り、怪異から「逃れよう」「解こう」という二つに絞ると、澤村の「ぼぎわん」は何方かと言えば「逃れよう」系統になり、最東のこの作品は「解こう」という系統になるかと思います。

 この「解こう」という系統のホラーに関しての代表格はリングでしょう。リングの場合、最後には明確に「ビデオをダビングして誰かに見せる」という解決策が出ました。が、この作品にはそれが無い(か、非常にあいまい)なのである。詰まる所、キチンとオチがついていないということから、モヤモヤが残る。

 

Ⅳ.次回作に期待

 最東対地さんはブロガーでして、近況や短編ホラー作品をブログにアップされています。

www.taichi-saito.jp

 このブログを読むに、次回作の執筆も進んでいるとのこと。

 次回作に期待、というところでしょうか。

 

夜葬 (角川ホラー文庫)

夜葬 (角川ホラー文庫)