雨の日の大人たちは

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【9/100本】今年最高傑作といっても過言ではない「シン・ゴジラ」 (1/2)

 庵野やるじゃん。エヴァつくんなくていいよ。

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  一週間遅れで見てきました、シン・ゴジラ。

 結論から言うと凄く面白かったです。ただ他のゴジラ作品と比べ、間違いなく異色作でしょう。今までの「ゴジラ」とも違うし、ハリウッド版「GODZILLA」とも違う、そして他の怪獣映画とも違うんだけど、でもきっと誰もが思っていたことを映画化した作品です。

 

Ⅰ.シーンの半分くらいが会議室

 この映画といえば会議室。某映画が「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」と言っていましたが、シン・ゴジラ的には「事件は現場で起きているんじゃない、会議室で起きているんだ!」的なイメージ。

 他のパニック映画、例えばSFでも巨大災害でもそうですが、その裏にはきっと数多くの人がいて、政治的な決定がなされていて、その最終的な結果が現場に降りてきているのですが、シン・ゴジラではその最終的な結果の前の出来事を綿密に描いていることに特徴があります。

 先日公開のインディペンデンスデイもしかり、以前のゴジラシリーズもしかり、基本的にパニック映画・ディザスター映画は現場の絵を重要視してきました。要はドーンといってグシャっとなって、ガラガラするのが面白いわけです。

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  しかしながら、この作品においてゴジラが街を破壊するシーンは全体の数える程しかありません。全編で2時間程度あるうちの、30分弱くらいじゃないでしょうか。そして残り時間が人類が、日本がいかにゴジラに対して策を講じるかを練るシーンとなります。

 

Ⅱ.事象ではなく、過程に面白さを求める映画

 異色作ではあるものの、このような手法に近い作品があります。

 そう、それが押井守の「劇場版 機動警察パトレイバーⅡ」並びに高山文彦の「WXⅢ 機動警察パトレイバー」です。

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 前者は「日本首都圏において、実際に戦争状態が発生したらどうなるか」を描いており、後者は「東京湾に出現した怪獣が、如何にして生まれるに至ったか」を描いています。これら作品とシン・ゴジラの共通点として、「現場の絵を省いている」という点にあります。

 アクション映画やSFであれば、前述したとおりドンパチ描くのがセオリーでありそこが見せ場であるのですが、この3作は何れもそうした現場を省き、そのバックグラウンドにある工程を描いています。特に押井守のパトレイバー2とシン・ゴジラの類似性は顕著と言えるでしょう。おそらく「パトレイバー」という原作付きでなければ、押井守はシン・ゴジラとかなり近い作品を作ったのではないでしょうか。

 であれば、押井がシン・ゴジラを撮っていれば似たような作品が出来ていたかというとそうではないでしょう。押井が撮っていたら、もっと曖昧で煙に巻いたような表現が多くて、そこにゴジラという事象があったのか無かったのか良く分からない作品になっていたと思います(パトレイバーがそうであるように)。その点庵野は、バックグラウンドを中心に描きながらもゴジラという事象に真正面から向き合い、堂々たるゴジラという日本特撮映画の神髄を撮ったと言えます。

 

 宮崎駿は以前、押井と庵野を比べ、「実写を撮るのなら庵野が上」と言っていましたが、正にそれが正しかったことを庵野秀明はゴジラで証明しました。アニメだけでなく、実写も撮れる。この作品は間違いなく、庵野秀明にとってキャリアアップにつながる作品だと言えるでしょう。

 

その2へ続く