雨の日の大人たちは

「100食」「100本」「100冊」「100記事」をテーマに、ダウナーなアラサーが日記書いています。

【17/100冊】これぞ洒落コワ怪談の極「ぼぎわんが、来る」

 洒落コワ系怪談を極めたような作品。

f:id:amenoh:20160610232245j:plain

 Ⅰ.あらすじ

 幸せな新婚生活を営んでいた田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。取り次いだ後輩の伝言に戦慄する。それは生誕を目前にした娘・知沙の名前であった。原因不明の怪我を負った後輩は、入院先で憔悴してゆく。その後も秀樹の周囲に不審な電話やメールが届く。一連の怪異は、亡き祖父が恐れていた“ぼぎわん”という化け物の仕業なのだろうか? 愛する家族を守るため秀樹は伝手をたどり、比嘉真琴という女性霊媒師に出会う。真琴は田原家に通いはじめるが、迫り来る存在が極めて凶暴なものだと知る。はたして“ぼぎわん”の魔の手から、逃れることはできるのか……。怪談・都市伝説・民俗学――さまざまな要素を孕んだノンストップ・ホラー!

 

Ⅱ.洒落コワ系怪談

 2ちゃんねるのオカルト板にある超長寿スレッド「洒落にならないほど怖い話を集めてみない?」にて集められた怪談を、通称洒落コワと呼びます。近年ではこの洒落コワ発作品の映画化なんかもされており、所謂現代怪談・都市伝説のメッカといっても過言ではないでしょう。

 そんな洒落コワ系作品の色を強く反映する作品が、今回レビューする「ぼぎわんが、来る」です。

 

Ⅲ.お約束

 洒落コワ系作品には、幾つかのセオリーがあります。

 例えば「怪異が発生するのは田舎」「ジジババは大抵怪異を知っており、親の世代はあまり知らない(信じていない)」「霊能力が強く、怪異から助けてくれる人物が現れる」「何故か懇切丁寧に怪異に関して教えてくれる」等等。まぁ基本的にホラー作品とはそういった「お約束」が多いジャンルですし、それを如何に上手くハズすか、またうまく使うか、といったのもホラーの面白さの一興であります。

 「ぼぎわんが、来る」はそういった洒落コワ系怪談の要素を強く持つ作品です。発端はジジババであり、解決に当たっては霊能力の強い人物、所謂寺生まれのTさん的な人が登場します。

matome.naver.jp

 実は私は、こういう寺生まれのTさん的な人間が出るホラーは好きではありません。あーいや、洒落コワでライトな感覚で読む分には別に特段そうではないのですが、200ページ超えるような作品だと、やっぱりこういったチートな存在は「怖さ」を妨げる要因になります。いやー、超能力者はジャンプの漫画だけで十分なのですよ、私は。

 

Ⅳ.でも勢いはすごい

 ホラーとして読むと若干がっかりな作品ですが、ホラー大賞選考員の綾辻行仁が言うように「ホラーエンターテイメントとしては傑作」だと思います。所謂B級パニック映画と同じような観念ですね。ある一定のお約束があり、起承転結がはっきりとしていて、約束された結末が用意されている。ジャンプでいう友情努力勝利の方程式のようなものが、この「ぼぎわん」には感じられます。

 そして何よりも、テンポよく進むストーリー構成は作者の才能といっていいでしょう。長編作品でも一気読みさせるテンポの良さは、洒落コワ系作品のいいところでもあります。

 

Ⅴ.総評

 ライトな感じで読み進めるなら、ホラー作品として誰もが楽しめる作品だと思います。でもホラー作品が好きな人にとっては若干物足りないというか、まぁ「ライトだな」と感じてしまうのもまた事実。ですが、日本ホラー小説大賞という権威ある賞の大将を受賞するには、それなりの訳がある、というのは感じられるのではないでしょうか。

 

ぼぎわんが、来る

ぼぎわんが、来る