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雨の日の大人たちは

「100食」「100本」「100冊」「100記事」をテーマに、ダウナーなアラサーが日記書いています。

【16/100冊】五話全てが怖い「どこの家にも怖いものはいる」

 短編集として見ると、とても秀逸かも。

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 Ⅰ.あらすじ

 作家の元に集まった五つの幽霊屋敷話。人物、時代、内容…バラバラなはずなのにある共通点を見つけた時ソレは突然、あなたのところへ現れる。これまでとは全く異なる「幽霊屋敷」怪談に、驚愕せよ。(bookデータベースより)

 

Ⅱ.短編全てが怖い

 先日「のぞきめ」でご紹介した三津田信三の作品。

amenoh.hatenadiary.jp

  作中でも触れているのだが、構成が「のぞきめ」と似通っている。本作は作者三津田信三が、自身のファンだという青年編集者に出会うことから始まる。彼から受け取った二つの怪談に奇妙な共通点を感じる三津田、そこから彼の元にそれらと関連する怪談が集まってくる、といったもの。

 とにかくこの集まった5作の怪談が全て怖い。どんなに秀逸な短編集だって、どれかはハズレだったり、少し違った毛色の作品に走るものだが、ここに収録された作品はすべてが一級品のホラー作品だ。

 特に怖いのは二つ目の「異次元屋敷 少年の語り」である。「割れ女」という怪異に遭遇した少年が、それから逃れるために晨鶏屋敷へ逃れる話だ。この「割れ女」がとにかく怖い。少年を執念的に追い詰める狂気的な怪異を、三津田の鬼気迫る文章が克明に描写している。読んでいると、自分の心音ですら止まらないかと思えるほど主人公である石部鉋太少年に自分を重ね合わせている。

 それ以外の短編も目を見張るものがある。どれも謎を残すような文体で終わっているが、それら一つ一つを膨らませるだけで長編が一遍書けるのではと思うほどの完成度だ。

 

Ⅲ.うーん、ホラーミステリーって何ぞ

 5つの怪談を読み終わった後、それぞれの怪異の共通点は何だったのか、三津田と編集者による謎解きが入る。これは「のぞきめ」でもあったような、三津田信三の「ホラーミステリー」作家としてのスタイルなのだろう。

 しかし「のぞきめ」でも同じようなことを書いたのだが、この謎解きが微妙。元々あってないようなものである怪異という「謎」を解くのには無理があるのかもしれない。しかしながら、秀逸なミステリを読み終わった後の「成程!」感があまりないのは、ホラーとしては合格でもミステリとしては不合格ではないだろうか。

 一遍一遍は本当に秀逸といってもいいのだけれど、最後の纏めが弱いというか、シコリの残るまとめになっているので読後モヤっとしてしまう。もうちょっとバシっと決まっていれば★5の傑作。

 

どこの家にも怖いものはいる

どこの家にも怖いものはいる