雨の日の大人たちは

「100食」「100本」「100冊」「100記事」をテーマに、ダウナーなアラサーが日記書いています。

【13/100冊】村上春樹の書いたラノベっぽい「いなくなれ、群青」

 完全に狙って書いてますよね、これ。

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 Ⅰ.あらすじ

 11月19日午前6時42分、僕は彼女に再会した。誰よりも真っ直ぐで、正しく、凛々しい少女、真辺由宇。あるはずのない出会いは、安定していた僕の高校生活を一変させる。奇妙な島。連続落書き事件。そこに秘められた謎…。僕はどうして、ここにいるのか。彼女はなぜ、ここに来たのか。やがて明かされる真相は、僕らの青春に残酷な現実を突きつける。「階段島」シリーズ、開幕。

 

Ⅱ.大人向けのラノベ?

 新潮社nexという、あのお堅い新潮社が発刊しているラノベブランド。ラインナップを見るとラノベ~一般文芸の中間くらいなのを中心に発刊しているようです。そんな未だマイナーブランドの中で、大学読書人大賞という何とも微妙な賞を受賞したのが本作。最近はそうでもありませんが、一時期本屋の文庫コーナーで平積みにされていたので、表紙は見たことある方も多いのではありませんでしょうか。

 私はラノベ嫌いではありません。高校時代は電撃文庫初期の「キノの旅」や「ブギーポップ」読んでたので、所謂読書家さんたちの「ラノベはクソ」という意識はあまりありません(最近のはアレですが)。

 ということで、話題作っぽいしまぁ試しに読んでみるかと思ったのが本作品。読んでみると割と読みやすく、変な口調で喋る萌えキャラもいない一方で、しっかりとキャラ立ちはしている。恐らくはこの文庫レーベルが目指す「大人向けのラノベ」というのに非常に合致しているのでは無いかという作品でした。

 ただ、一点気になる点を除いては。

 

Ⅲ.村上春樹やんけ!

 そう、この作者の文体が村上春樹のモロパクリという点を除いては。

 貴方がもし村上春樹作品を何作か読んでいれば、数ページこの作品を読み進めていくと、どこかで似たような文章を読んだような既視感を感じるはずだ。回りっこくて、ねちっこくて、答えがあるようで、答えがないような、意味があるようで、意味がないような文章。そう、正に村上春樹なのである。

 因みに一文を抜き出すと

 僕はそのままキャッチボールを眺めていた。あるいは、と考える。キャッチボールを見飽きないのは、そこになんらかの秩序があるからかもしれない。鳥が飛ぶ姿にも、噴水が吹き上がる様にも、言葉にしづらいけれど秩序を感じる。重力は巨大な秩序だ。巨大な秩序に逆らう、ささやかな秩序を僕は好むのかもしれない。なんにせよ僕は落書きが嫌いだ。あれは、あらゆる意味で秩序的ではない。(本文より抜粋)

 

 ね、村上春樹でしょ?

 また100万回生きた猫とか、ピストルスターの話とか、そこはかとない80年代の間違ったオサレ感が半端なく漂ってくる文章なのである。いや、決して読みにくいというわけではない。しかしながら、どうしようもなく村上春樹なのである。

 だから村上春樹が嫌いな人間には、この文章はあまり面白くないと思う。そう、パスタに完璧な茹で加減が存在しないように、完璧な文章など存在しないからだ(棒)。

 

Ⅳ.総評

 ともあれ、最近の所謂ラノベレーベル作品としては格段に面白く読みやすい。そこそこウケたようでシリーズ化されており、現在「階段島」シリーズとして3冊が発刊中だ。

 手に取るか、手に取らないかはすべて君次第だ。そう、僕がそれを勧めることも、否定することもできない。勧めたとしてもそういうフリをしているだけさ。世界で起こる大半のことは、みんなそういうフリをしているだけなんだ(棒)。

 

 

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)