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雨の日の大人たちは

「100食」「100本」「100冊」「100記事」をテーマに、ダウナーなアラサーが日記書いています。

【4/100食】ご当地料理に美味いものなし「梅乃屋」

100食 ★☆☆☆☆ ラーメン グルメ

 名物とは、決して美味しい物のことをさす訳ではない。

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  皆様は「竹岡式ラーメン」というものをご存じだろうか。知っているならば貴方は幸運である、もう二度とそれを食べようとは思わないから。知らなければ貴方は幸運である、しかし二度とその名前を思い出さない方が良い。

 

 「竹岡式ラーメン」とは、千葉県富津市竹岡近辺にて生まれた漁師メニューである。チャーシューを煮る濃い醤油煮汁を、麺の茹で汁で溶いたものをスープと呼び、1パック60円くらいの格安袋ラーメンの乾麺を茹でたものを麺とする、神をも恐れぬ一品のことを言う。元々近辺は漁師街であり、近辺の主婦たちが漁から帰ってきた漁師たちをねぎらうために始めたんだか、何なんだかが起源とのこと。

 

 そんな竹岡式ラーメンですが、「勝浦担々麺」や「アリランラーメン」と並び、千葉3大ラーメンに数えられています。そして今回は、その「竹岡式ラーメン」発祥のお店の一つである「梅乃屋」へ行ってきました。

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 見ればわかる通り、並んでいます。どれくらい並ぶかというと、私は今回1時間待ちました。皆さま、1時間です。これをよく覚えておいてください。

 

 1時間ほど並んで、ようやく店内に案内されます。狭い店内にはテーブルに客が所狭しと肩を寄せ合いラーメンをすすっています。店員は全員ババ・・・女性の方で、本日土曜日は5名の方がいらっしゃいました。

 まずテーブルに案内される前に、注文を聞かれます。今日は忙しいらしく、ラーメンか大ラーメンのどちらかしか選べないとのこと。ここで私は考えました。「竹岡式ラーメン」、あの悪名高い竹岡式ラーメンの本店、どんなものが出てくるか全く想像がつかない。ここは普通のラーメンで様子を見るべきでは・・・

先輩「すいません、大ラーメン2つ! 薬味ありで」

雨男「せ、先輩!?」

 そう、今日は先輩と来ていたのである。とある理由で近辺まで来ていたので、自然と梅乃屋へ行くという話になったのですが、どうやら先輩は竹岡式ラーメンには耐性がある模様で、学生時代にも何度か来たことがあるらしい。

 まぁ注文してしまったものは仕方がない。それに大といったって、おそらく麺1.5倍程度が関の山だろう。とタカをくくっていると

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 運ばれてきたのがこれである。

 

 ・・・お分かりいただけるであろうか?

 

 丼のフチいっぱいまで麺が埋まっている。果たしてこれは1.5倍であろうか? いや、もっとある。というか、どう考えても水分を吸って伸びきっているのではないのか、この麺は。

 仕方がないので一口麺をすすってみる。・・・伸びっ伸びや。

 そして麺にスープが全く絡んでこない。なんというか、伸びきった麺をそのまますすっているような感じがする。

 それは何故か直ぐにわかる。このスープには出汁がないからである。抑々ラーメンというものに大きく個性を付けるのはスープである。豚骨、鶏ガラ、牛骨、煮干し、鰹節、海老、蟹等等、そのレパートリー・組み合わせは星の数を超える勢いで増殖し、日本のラーメン文化を確固たるものとしてきた。

 この竹岡式ラーメンにはそれがないのである。前述のとおり、竹岡式ラーメンはチャーシューの煮汁にお湯を注いでいるだけである。貴方もしてみればいい。醤油にお湯を注いだところで、醤油ラーメンのスープにはならないのである。つまり、竹岡式ラーメンのスープはある意味、醤油のお湯割りといって言いに等しく、旨みもクソもない一品なのである。

 この味もクソもないスープに、伸び伸びの麺が2玉強はあるだろうか。すすってもすすっても無くならない麺と、すすればすするほど膨れてくる腹。その間にもどんどん麺は水分を吸い込み膨張していく。

 味のない麺をかみしめるたびに、私はふと思うのである。

 

 果たしてこれは何なのだろうか。

 

 今や日本のラーメンは世界へと羽ばたき、ミシュランガイドにはラーメン店が掲載されるようになった現代において、この「梅乃屋」のラーメンの暴挙は何なのであろうか。このラーメンは1杯800円である。何故私はこの店で、一時間を待ち、800円を払って、罰ゲームのごとき所業を受けているのだろうか。

 何故か、それは行き過ぎた日本ラーメン業界への警告なのではないだろうか。

 よりおいしいラーメンを、より斬新なラーメンをと進化を遂げる中でラーメン一杯の値段は飛躍的に上昇した。庶民の味であったラーメンは、もはや一部のラーメンマニアの物となり、美味しい店には行列が出来、競争に敗れた店は直ぐに姿を消していく。地元に密着したお店であろうが、ラーメンブロガーや批評家が悪い噂を立てれば、それは瞬く間に広がり、経営への深刻なダメージとなる。過当競争は不要な争いを増やし、本当に必要なもの、本当に必要な味というものを覆い隠してしまっている。今のラーメン業界はマニアたちの玩具となり果てた。もはや現代において、以前のような家族がふらりと立ち寄れて家族全員が笑顔になれる、そんなラーメン屋は存在しないのではないのだろうか。

 そんな中で、みんなに愛されたラーメンの姿は何なのかを梅乃屋はしっかりと守り続けているのかもしれない。漁から帰った漁師たちの、冷え切った身体を温めるためにもてなされた一杯のラーメン。そこには同じくラーメン作りに汗を流す、彼らの妻たちの姿があるのである。そこにあるのは一杯のラーメンを通じて育まれる、人の関わり、愛なのかもしれない。

 

 

 でも不味い! 子供も泣くわこの味じゃ! ☆1!

 

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