雨の日の大人たちは

「100食」「100本」「100冊」「100記事」をテーマに、ダウナーなアラサーが日記書いています。

【12/100冊】今夜電気を消して眠れなくなる「のぞきめ」

 読んだ日はしっかりと戸締りをして寝たい「のぞきめ」

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 Ⅰ.あらすじ

 辺鄙な貸別荘地を訪れた成留たち。謎の巡礼母娘に導かれるように彼らは禁じられた廃村に紛れ込み、恐るべき怪異に見舞われる。民俗学者・四十澤が昭和初期に残したノートから、そこは“弔い村”の異名をもち“のぞきめ”という憑き物の伝承が残る、呪われた村だったことが明らかとなる。作家の「僕」が知った2つの怪異譚。その衝撃の関連と真相とは!?何かに覗かれている―そんな気がする時は、必ず一旦本書を閉じてください。(bookデータベースより抜粋)

 

Ⅱ.読み応えのある長編ホラー

 「のぞきめ」という怪異をテーマにしたホラー小説。本書の構成は二部構成となっており、それに著者が考察を加えている、という形式となっている。この二部は同じ村を舞台としているが、時系列としては二部→一部となっており、時間の隔たりは五〇年ほどある。一部では廃村となった村に主人公らが訪れることで怪異に遭遇する、といったストーリー展開となっているが、二部ではなぜその村が廃村になったのかまでを描いている。

 文庫本にして四〇〇ページであるが、一部が一〇〇ページ、二部が三〇〇ページ程度の割り振りで描かれており、二部にぐっと力を入れた展開となっている。

 

Ⅲ.民俗学的な考察が多い

 本書の三津田信三の趣向であることか、非常にロジカルに怪異を考察する場面が多い。「ホラーミステリー」というジャンルを開拓している著者であることか、「金田一少年の事件簿」のようなホラーじみたサスペンスのような書き筋となっている(違うのは金田一少年がホラーじみたサスペンスであるのに対し、こちらはサスペンスじみたホラーである)。これは以前レビューした「祝山」によく似ているが、こちらは例えるなら司馬遼太郎の与太話のような面白さを感じる。

amenoh.hatenadiary.jp

 

Ⅳ.総評

 実は現在絶賛映画公開中らしい本作なのですが、どうもそちらは「びっくり系」にしてしまっているようなので、本書の良さはあまり伝わらないのではと思います。文体もしっかりとしており、若干シチュエーションが分かり辛い場面もあるものの、概ねストレスフリーで読み進むことができます。

 ただ最後の解釈に関しては「成程」と思う一方で、ならもうちょっとヒントがあってもよかったのでは、またこじつけすぎじゃ、と思う解釈。この辺りは非論理的であるホラーと論理的である推理サスペンスを融合するのに苦労するんだろうな、という感想でした。

 今後も追っかけていきたい作家のひとりとなりました。

 

のぞきめ (角川ホラー文庫)

のぞきめ (角川ホラー文庫)