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雨の日の大人たちは

「100食」「100本」「100冊」「100記事」をテーマに、ダウナーなアラサーが日記書いています。

【4/100本】フィンチャーの世界観が活きる「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」

100本 ★★★★☆ 映画

 良作を振り返っていこうシリーズ。デイビット・フィンチャー監督作品「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」

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 Ⅰ.あらすじ

 80歳の状態で生まれ、年を取るごとに若返る人生を与えられた男の一生を描く。

 2005年、ハリケーンが接近中のニューオーリンズ。病院で死の床に伏している老女デイジーは、娘キャロラインに、ある日記帳を自分に読み聞かせるよう求める。その日記帳にはベンジャミン・バトンという男の人生が綴られていた。(wikipediaより引用)

 

Ⅱ.フィンチャーの描くラブストーリー

 本作はフィッツジェラルドの短編小説を、「フォレストガンプ」等の名作を手掛けたエリック・ロスが脚本に落とし込んだものです。ベンジャミンの日記を読み上げるような、独白の形式で進むのはフォレストガンプに通ずるものがあります。

 全体的な構図に関しては、監督であるデイヴィット・フィンチャーの色が色濃く反映されています。よく言えば重厚感があり、悪く言えば暗ーい絵です。しかしながら、この160分超という長い映画を飽きることなく観客に提供できる構成力は流石名監督と言っていいでしょう。因みにフィンチャー監督はこのベンジャミン・バトンでアカデミー賞監督賞初ノミネートとなっています。え、ファイトクラブじゃないんだ、と若干驚きました。

 

Ⅲ.すれ違い

 タイトルからあるように、本作品は主人公ベンジャミン・バトンとヒロイン・デイジーの数奇すぎる人生を描いたものです。彼らが出会ったのはお互いまだ子供だった頃。その時からお互いに惹かれていたにも関わらず、二人が共に過ごした時間はあまりにも短いものでした。

 デイジーが通常通り齢を重ねていくのに対して、ベンジャミンは逆に若返っていく。デイジーが若さからくる積極性を見せる一方で、ベンジャミンは老いゆえの慎重さから噛み合わない。お互いに思っているのにたどってきた道が違うから、中々思うようにはいかない。結局のところ、二人が共に過ごした時間はお互いの年齢ギャップが埋まる40代の短い間だけでした。

 お互いに愛し合っているのに、ベンジャミンの数奇な人生はそれを許してはくれない。そういうもどかしさを、フィンチャー監督は時にヒューマンドラマチックに、時にラブストーリーチックに揺れる感情を映像に出し切っています。

 

Ⅳ.特殊効果ってすごい

 主人公のベンジャミンを演じるのは当時40代を過ぎたブラッドピットと、40を手前にしたケイト・ブランシェット。ブラッドピットに関しては少年時代と老年時代は他の役者に代演しているものの、ケイト・ブランシェットに関しては少女時代以外20代以降全てをケイト・ブランシェット自身が演じ切っています。20代の妖艶なデイジーから、死の間際に至るまで、それを演じ切るケイト・ブランシェットの演技力にも脱帽ですが、メイクも凄い。勿論本年のアカデミー賞メイク賞はベンジャミンバトンが受賞しています。納得の結果ですね。

 

Ⅴ.総評

 通常のラブストーリーとは一線を引く作品であり、あえて言えば「イロモノ」な作品でもあります。しかしながらそうした設定を十分に生かした脚本の力と、脚本を活かすことのできたフィンチャーの監督力、そして現代特殊メイク技術によって、この作品は非常に説得力のある内容を描いています。

 作中で度々語られているのが、「自分の人生は自分で決めること」です。ベンジャミンはそれに従い17で家を出て、自分の境遇に悲観せず、自分の人生を自分の足で歩いていくことを決断します。

 最後にベンジャミンが今迄出合った人を思い出すシーンが印象的です。

 故郷の里の畔で暮らす人、雷に打たれた人、音楽が得意な人、アーティスト、泳ぐ人、ボタンを作る人、シェイクスピアが好きな人、母親になる人、そして―― 踊る人。


 貴方はどんな人なのでしょうか。そして私は。

 

評価:★★★★☆

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amenoh.hatenadiary.jp